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【春闘 「ベア実施余地ない」 経労委報告 「定昇見直し」は緩和

 ◇2013春闘

経団連は21日、2013年春闘の経営側の指針となる「経営労働政策委員会報告(経労委報告)」を発表した。長引く円高やデフレに直面する日本経済の現状を踏まえ、一律に賃金を引き上げるベースアップ(ベア)について、「実施する余地はない」と明記した。

一方、年齢や勤続年数に応じて賃金を上げる定期昇給(定昇)に関しては、当初案にあった「制度の見直しを聖域にすべきではない」との表現を削除した。

東京都内で記者会見した経団連の宮原耕治副会長(経営労働政策委員長)は「自社の置かれた状況や危機感を(労使が)正しく共有した上で、建設的な議論を尽くすことが重要」と指摘した。その上で、「(今春闘は)企業存続と従業員の雇用維持・安定を最優先する議論が中心となる」と述べた。

年齢や勤続年数に応じて賃金が上がる定昇制度について指針は、「制度が定着した高度経済成長期と現在の経営環境は全く異なる」と主張。深刻かつ危機的な経営状況にある企業に関しては定昇の「延期・凍結」の可能性も示唆し、給与総額の1%引き上げを求める連合側をけん制した。

一方で指針は、従業員の仕事や貢献度を反映するように定昇の制度を変えていくよう提言した。

今春闘では、経済再生を最優先に掲げる安倍政権が、雇用拡大や賃上げを行った企業の法人税を軽減する税制改正の方針を打ち出しており、経営側に賃上げ圧力を強めている。

経団連が「安倍さんの新しい経済政策については(経営側としても)最大限努力したいと思っている」(宮原副会長)としながらも、定昇などに慎重な立場を崩さないのは、企業や地域間で業績の格差が広がっていることが背景にある。

さらに、65歳までの雇用を企業側に原則義務づける「改正高年齢者雇用安定法」が今年4月に施行される影響も大きい。

仮に現役世代の賃金カーブを見直さないまま継続雇用をした場合は総人件費が膨らみ、国際競争力の低下につながるからだ。このため、経団連は、中高年を中心に賃金水準や仕組みの見直しを企業に提案する考えだ。

 ◆経労委報告のポイント

 【ベースアップ(ベア)】ベアを実施する余地はなく賃金カーブの維持、あるいは定期昇給の実施の取り扱いが主要な論点
【定期昇給(定昇)】円高の影響などにより深刻かつ危機的な経営状況にある企業においては、定昇の実施時期の延期や凍結について協議せざるを得ない場合もあり得る
【賞与・一時金】短期的かつ一時的な企業業績の変動があった場合には、賞与・一時金に反映させることを一層徹底していく必要がある
【改正高齢者雇用法】継続雇用者の賃金制度を抜本的に見直す場合には、定年前の賃金制度の改革が不可避

 写真=記者会見する経営労働政策委員会の宮原耕治委員長(21日、東京都千代田区で)

[読売新聞社 2013年1月22日(火)]

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